団地の中から

人間の“場所”について考えるブログです

団地#04 千里桃山団地

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 大阪府吹田市の桃山台駅を訪れた。

 

駅の東側は吹田市で、西側は豊中市。

このあたりは千里ニュータウンの地域のひとつであり、行政区画が二つの市をまたいでいるけど、ひとつの町としてみな往来しているみたいだった。

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駅の西側のそばにUR都市機構の千里桃山団地がある。西日をうけて赤みがかかったクリーム色の外壁がきれいだった。

外から見る限り、建物の西側・東側ともに住戸の窓があるようなので、この団地は中廊下型の住戸構成になっているんだと思う。そのため窓が東西両面にとれず、団地独特の空気の開放感は少しうすれてしまう。

また、こういう高層団地は地面からの距離が大きくなるぶん、今までの団地にあったような生活感の表出がかなり少なくなる。

ただ、この千里桃山団地の場合は、団地の足元が北大阪急行桃山台駅への出入り口になっており、その賑わいはしっかりあって良い感じだった。

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 一階のエレベーターホールで掲示板を眺めていたところ、住民のかたと思しき老齢のおじさんがにこやかに挨拶をしてくれた。

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 そして駅のすぐ東側には大阪府住宅供給公社の竹見台団地が。

5階、8階、11階のみにエレベーターが止まるようになっていて、それ以外の階は建物の中の階段で行ききできる。例えば7階に住む人は、家に帰ろうと思えば一度8階までエレベーターで昇り、そこから階段で7階まで下りていく面白い構成の団地だ。

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 少しややこしい動線になってしまうけど、その少しの複雑さが楽しい。

何よりこの構成にすることで、中廊下と外廊下をつける箇所が減らせるため、高層団地でいながら東西の通風を確保することができる。

 僕の実家の近くにもこんな団地があって、よく友達と一緒に鬼ごっこをしたりして遊んだ。エレベーターや階段を使った駆け引きが面白くて、一日中他人の団地で遊んだ。今思うとはた迷惑だったかもしれない。

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V字の住棟配置にすることで、住戸をたくさん確保しつつも、採光や通風も同時に確保することができる。

パステルに塗りなおされた外壁が団地の静けさと穏やかさにマッチしてる気がした。

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竹見台団地から道路をまたいで南へ行くと、大阪府住宅供給公社の千里桃山台団地がある。

幹に枝がとりつくような、エレベーターホールの出窓がかなりおしゃれでよい。

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日が暮れてくると、明かりがともり始めてランタンのようだった。

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日よけのすりガラスでにじんだ光が、団地の武骨さにやわらかさを加えている。

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その裏手には府営千里桃山台団地があった。

東側に行くにつれて上がっていく敷地に合わせて、お互いの快適な生活感を気遣いつつ住棟が並んでいる。

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この団地は特に表出が多く、自前の植木鉢や花壇が作られていた。

こういうのは作ってくれる人もさることながら、見てくれている人がいるということが大切で、住民同士の交流が盛んなんだと思う。

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横顔がシュッとした住棟もあった。

トイレや風呂の水回りが後ろ側に集まり、ベランダやリビングが前側に集約されているよう。こういうタイプは珍しい。

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ニュータウンの団地の近くには近隣センターという、ショッピング機能が集約された施設があって、建設当時は生鮮食品やクリーニング店などのブルーカラーな雇用がまとまっていた。

 多くは閉店しシャッター通りになってしまうこともままあるけど、この近隣センターはしっかり昔からの機能が続いている。肉屋の前を通るとジューシーなコロッケの良い匂いがした。

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その近隣センターのそばには道路をまたぐ歩道橋があって。

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反対側の近隣センターは静かな印象を受けたけど、個人経営のレストランがいくつかあるみたいで、

中を覗いてみるとかなり客が入っていて、繁盛しているようだった。

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六甲山のほうに日が沈んでいく。ニュータウンは日々を生きるための大きな器だ。少し勇気が出た。