団地の中から

人間の“場所”について考えるブログです

飲酒

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 ビールを飲むようになった。お中元か何かのおすそ分けで5〜6本のスーパードライを貰ったのがきっかけだった。

 長く置いておくと味が劣化していくばかりだし、何より冷蔵庫がかさばるので、1日1本のペースで空けていくことにしていたのだけど、4日目、冷蔵庫の奥に並ぶスーパードライが最後の一列を残すのみになったくらいから、急激にビールがうまく感じるようになった。

 

 しっかりと冷えたビールをグラスに注ぎ、喉をぐっぐっと鳴らすように飲む。飲むというより食べている感じだな、と毎回思う。

 

 鼻の奥で泡が弾け、酸味と苦味のまじった独特の風味が鼻を抜けていく。この残り香が嫌いだったはずだが、どういうわけかもうひと口…が続いてしまう。

 もうひと口、もうひと口を続けていくうちに、すっかり頭のさきまでビールがなみなみと溜まってしまい、少し心地よく痺れてくる。横になって全身にビールを行き渡らせると、心の底に沈殿している澱がふわっと広がった。