団地の中から

人間の“場所”について考えるブログです

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  最近仕事が終わるのが22時近くなり、家に帰るともう晩ご飯を作って食べてという時間がかなり限られている。

疲れているときこそ栄養のあるものを食べたいので、出来るだけカップ麺や出来合いのお惣菜は買わずにしのいでいる。

 

 この間も帰りが遅くなってしまった。

ただ、もう少し社会の空気にあたりたくて、まっすぐ帰らずに閉店10分前のスーパーに寄った。

何も買うつもりはなかったが、野菜売り場の前を通ったとき、控えめに並べられた柚子が視界に入ってきた。

 

 毎年、冬至の日は柚子湯にしてお風呂につかることにしている。あごの先まで湯船に身体をひたし、鼻先に少しふやけた大玉の柚子をくっつけて呼吸をすると、体の中に柚子の良い匂いがしみ込んでいき、中から外からとろけるような感覚になる。スーパーに陳列された柚子を見た瞬間、その時の感覚が映像として呼び起こされた。柚子を連れて帰りたくなった。

 

 柚子は皮を細かく刻み、お吸い物に入れて食べた。

昆布を湯がいてだしをとったものに、醤油と塩で薄味をつけて、エリンギや麩などを入れると高級な気分になれる。あったかいものを食べると当たり前だが体が温まる。

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 晩ご飯を食べたのち、コーヒーを飲んだ。最近マグカップを100円ショップで買ったので、家でもコーヒー率がすっかり増えた。

 ただ100円ショップで買ったマグカップ、という事実に少し緊張感を覚えるので、念入りに洗剤で洗い、電気ケトルで湯を沸かし、マグカップに注いで軽くゆすったのちすぐ捨てる。これを何度か繰り返した。

 熱湯をシンクに捨てると、シンクについた水垢が溶け出してきれいに輝いた。

何度も何度も湯をかけるたびに、面白いようにシンクの曇りがなくなっていき、思わず顔を近づけて様子を観察してしまった。

近づきすぎたせいで、シンクからのぼる湯気で眼鏡が曇った。冬、とまた気付いた。