団地の中から

人間の“場所”について考えるブログです

 また仕事終わりに大阪市内の住宅地を歩いていた。

 

 テナントビルや高層のビルが立ち並ぶ地域だけど、最近は新しい高層マンションがたくさん立っている。マンションは高くなればなるほど、その足元は清潔でぱりっとした雰囲気が漂う。

 

 ぱりっとしたエントランスから、何回か脇道を入ったような場所に猫がいた。家猫か、野良猫かはわからない。じっと見ていると、一定距離を保ちながら僕の周りをウロウロし始めて、僕が手を伸ばすまでに逃げ出せるような距離でしゃがんで、顔だけはこちらを向けて落ち着いた。

 はじめは真っ黒な黒猫だと思ったのだけど、よく見ると毛の一本一本に濃淡があるらしかった。毛並みのつや、固さ、筋肉の肉付きに合わせてできた毛並みの陰影が、撫でなくても手の中に手触りを感じさせた。

 猫がいる、というよりも、血肉の通った生き物と向き合っているような感じがした。僕が体を動かすと、猫も体をぱっと起こして、一目散に逃げていった。