団地の中から

人間の“場所”について考えるブログです

空間のこと

日常の喪失

blog.danchi.me 失って初めて気づく…という決まり文句があるように、何かへの喪失感というのは、意外にピンと来ていない人が多いのかもしれない。というのは僕も含まれる。 どういう感じの感情に襲われるのか知識として知っていても、味わったことがないと、…

団地#06 大阪市営南方住宅

都市部は秩序の中に成り立っている。もっとわかりやすくいうと、パブリックな空間しか存在しないということであり、個人の世界が集まっているのではなくて、集合体としての世界の中で僕たちは過ごしている。 この集合体というのは、制度やシステムによって形…

狭い世界に生きる人(自分)

生まれも育ちも団地で、今は実家でない団地に住んでいる。 電車に乗っていても、車窓から見える団地をつい目で追ってしまうし、仕事で外出の用事があってグーグルマップで行き先を調べていても、この辺りのこのへんに団地があるんだな、と無意識に考えている…

新幹線定期はつらくても、住みたい街で暮らす

新幹線定期を使って、毎日新潟と東京間の通勤をする女性会社員の記事を見かけた。 www.nikkei.com 記事にもあるのだけど、この方は生まれ育った新潟と会社のある東京の2拠点を、毎日新幹線で行き来しているらしい。 ツイッターなどでこの記事に対するコメン…

地元から出ない若者は増えていくと思う

数年前のインターネット界隈でにわかに「マイルドヤンキー」という造語が広まった。ちゃんとした定義はウィキペディアに載っているけど、大まかにいうと「交友関係は中学・高校がメイン」、「地元を出ず地元の企業に就職する」「ずっと地元に暮らす」という…

就職で住んだ知らない街

知らない街で暮らすということには、想像以上の苦しさがある。それは、うまく言えないのだけど、過去の自分と断絶してしまうからなんだと思う。 いつも帰り路に寄っていた本屋や、駅のエスカレーターもない。これは、昨日の僕がどこにもいないということだ。…

ゆっくり時間が流れる街

なんとか金曜日を乗り越えた。毎週同じことを感じているんだけど、一週間の密度がすごく濃い。 24時間が5回あるんじゃなくて、120時間が1回あるような感じがする。今の僕にとっては、これを充実と呼ぶべきなのか、単なる忙殺と呼ぶべきなのか、よくわからな…

団地と時間

雨が降りそうで、大きめの傘を持って行ったけど、今日は結局降られなかった。 お昼休みの時にヤフーの雨雲レーダーで確認すると、どうやら通り過ぎたらしい。 帰りもやっぱり雨は止んでいた。少しだけど、地面はしっとりとした感じ。 腕をだらんと伸ばして歩…

電車のエアコンの匂い

電車のエアコンの匂いは、世界のどんづまりみたいな匂いがする。 23時まで後輩の手伝いをした。大変だったけど、遅くまですみません。とポツリと言われ、いいよ、と言って別れた。

知らない街で暮らしている

母から富士山の写真が送られてきた。父母で箱根に旅行に行ってきたとのことで、あまり関東のことは詳しくないのでわからないが、箱根の山から富士山が見えるとのことらしい。 舗装された箱根の山道の駐車場から撮ったようで、数台の車のバックになって写真の…

団地#05 古市東団地

OsakaMetroの今里筋線・新森古市駅からだいたい7分くらい歩くと、市営住宅やUR都市機構の団地が固まったエリアが見えてきた。 1956年に竣工した古市中団地は、設計は久米設計によるもので、それまでの日本にノウハウのなかった“団地の設計"という課題に対し…

街に自分をばらまく

生まれ育った街には横断歩道の白線や、歩道の柵のひとつひとつに記憶がしみ込んでいる。 今日は実家の近くをジョギングした。最近ぜい肉がついてきているので、めちゃくちゃ痩せてやろうと思っている。 走っていると少し汗ばむ程度の気温で、風が抜けて気持…

街との距離のとりかた

最近は梅田のカフェによく行く。人の空いてるカフェがあれば入り、一番安いコーヒーを飲みながら資格の勉強をしている。梅田の地下街のチェーン系のカフェに座って、勉強が煮詰まってきた頃にアイスコーヒーをちびちび飲みながら、行き交う人々をぼーっと眺…

団地#04 千里桃山団地

大阪府吹田市の桃山台駅を訪れた。 駅の東側は吹田市で、西側は豊中市。 このあたりは千里ニュータウンの地域のひとつであり、行政区画が二つの市をまたいでいるけど、ひとつの町としてみな往来しているみたいだった。 駅の西側のそばにUR都市機構の千里桃山…

団地#03 和泉市営幸団地

大阪府和泉市の幸団地を訪れた。 JR阪和線の信太山駅で降りて、しばらくなだらかな坂を上っていった。 この辺りは幸団地だけじゃなくて、旭団地とか山手団地とか、いろいろな団地がある。 もう少しぐるり回ってみたかったが、そろそろ日も暮れかけだったので…

団地#02 新檜尾台第二次住宅

団地マニアなんだろうか、と思うけど、おそらく僕は団地マニアではない。 身近にあり、団地で暮らすことが僕にとってのスタンダードなので、他の団地マニアのように何か萌えのようなものを団地に見いだすことはない。 ただ団地は僕にとって特別だということ…

団地#01 大阪市営佃住宅

団地を撮っていきたいなといつも思う。動機は正直わからないけど、僕の生まれ育ったのが団地だから、に過ぎない。 団地を見るとき、郷愁・ノスタルジーな"物語"がくっついてしまい、そのものの造形の美しさを鑑賞することを邪魔している、と石川初という建築…

団地#00 東京都営西青山団地

東京の表参道に団地を見に行ってきた。 都営の西青山団地といって、もうすぐ取り壊しになる団地だった。 カーテンウォールのビルや、舗装タイルの割付がきれいな道から少し逸れるとこういうひだのような空間がある。 許されているように雑草が伸びきっていて…

団地こそが世界だった

金曜の夜は明日がまだ休みだから、という理由があるから夜更かしできる。 あまり家では飲まないけど、こういうときはより特別感を演出したいから酒を家で飲むことにしている。数か月ほど前にスーパーで買ったバランタインとかいうウイスキーを少しずつちびち…

帰る家がなくなっていく

生まれてから幼稚園の頃くらいまでの記憶はほとんどない。 ほとんどと言えば少しだけ記憶があるように聞こえるけど、断片的なシーンが何枚か頭の中に残っているだけで、それも歳をとって来れば細部がぼんやりとしたものになってくる。 団地のベランダのドア…

ニュータウンと僕

神戸で彼女と遊んだ帰り、明日は祝日だし休みだしということで、実家へ帰って泊まることにした。 僕の地元はいわゆるニュータウンで、マンションや団地が立ち並んでいる。23時過ぎ最寄りの駅に着くと、同じように休日前だからと遅くまで遊んだ人たちが各々の…

前住んでいた部屋

懐かしい。 人の出会いは一瞬だ。 前の職場の同期たちは僕のことはもう覚えてないのだろうか